笑えぬ童子~108の業~ 真野真

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不幸に直面した人々の前に現れる座敷童子。108の業を求める彼女は対峙した人間に不幸の宿替えを提案する。人々の採る選択とそれによる結末を描くアメージングストーリー。
双子に産まれすぐに殺された赤子に憐れを感じた神様は人間の108の煩悩を集めれば人の心が生まれ成仏できるだろうと告げる。そして赤子は座敷童子となった。・・というオープニングで始まる物語。
時が経ち舞台は現代。派遣切りにあった青年、パートナーのDVで赤子を失った女性など不幸に直面した人間の前にその座敷童子が現れある提案をする。その提案とは「不幸の宿替え」、つまり当人の不幸を無い物とする代わりに身近な人間が不幸をかぶるという。自分の幸福をとり他者を不幸にするか、自分が不幸のままで終わらせるかという選択を迫られる人間と、選択した結果その人間がどういう道をたどるのかまた選択した当人の心情はという内容で、座敷童子は狂言回しとなり物語の主役は各々の物語に登場する人間という構成。
世にも奇妙な物語でもあったIF物語。人間の心理をテーマとした物語でそのエピソード自体はありきたりながらドラマや人間の選択や心情描写などはもう一歩掘り下げられた興味深い内容になっています。選択が二者択一でありながら途中で再度選びなおさせることもあるという構成なのも特徴で、それゆえに物語の幅が大きくなっているかんじ。
1話1エピソード形式で、巻末には本編と違う選択をした彼らの結末が描かれていますが、別の選択を選んでもバッドエンドとは限らずそれなりに納得できる結末であるところがツボでした。

真野真
ゼノンコミックス全3巻 / 徳間書店
ジャンル:青年・ドラマ・アメージング / 好み度:★★★★☆