仕事に不満はないし気心の知れた友人もいるしで、だらんと生きてきて気がつけば三十路になってた普通のOL楓。そんな中、本人は気づかなかったがモテテいたと知ったり、結婚を控えた男友達が昔はちょっと好きだったとカミングアウトされたり、大台に乗ったことからそれまでと違う意識が胸中をもたげてきたよ。ちょいとインパクトのある出来事を交えた独身・三十路・彼氏なしのごく普通のOLとその周辺をゆるーく描いた4コマ。
それまでずっと男友達だったポジションの男性に当人が結婚が決まったほぼ同時期に恋情を自覚したという設定が不毛すぎる。なまじずっと片恋で告白せずままもっていかれたってよりも痛い。男友達のデリカシーのなさもなんだかなあ。
主人公はいろんな意味で物事を掘り下げないというか洒落にならない陰鬱な思考に走らないタイプなため状況設定のわりに気軽に読める内容なんですがね。一見ちゃきちゃきしてそうで壮絶に不器用で軽忽な気質がいい印象を受けるときもあれば涙を誘うときもあり。
著者の作品の中ではめずらしく人物関係や設定がつまずかずに頭に入ったタイトル。未来が停滞な予感しかない設定もまた味がある、と思う次第。
辻灯子
まんがタイムコミックス全3巻 / 芳文社
ジャンル:4コマ・OL・恋愛 / 好み度:★★★☆☆