天下泰平の江戸の街。商業で財を成し妻とともにのんびりとした隠居暮らしの男性。彼は歩幅を数えつつ江戸の街を散歩し、街に住む人々の情景や街の自然を眺めるという話。
主人公は、同じ道を何度も歩き歩数の誤差を測ったり歩き方を変え歩幅と距離の相対を図ったり歩きながら正確な距離を測る道具を考案したり天文学に精通していたり・・つまりは正確な日本の地図を作った伊能忠敬がモデルになっている模様。作中では本人とは言及していませんが。
趣味と実益を兼ねた江戸の街の散策。江戸の人々の活気、街中の店や風俗、周囲の豊かな自然、それらがさまざまな構図と静かな演出で彩られ読み手を魅了させます。なんというか江戸の街ガイドブックみたいな側面もあるかも。
ゆったりと流れる情景描写、時には主人公が意識をシンクロさせるような演出とともに亀や猫といった動物の視点、桜の木の視点での江戸の姿の描写も印象的でした。
谷口ジロー
モーニングKCDX全1巻 / 講談社
ジャンル:青年・時代物 / 好み度:★★★★☆