ラフナス 白井弓子

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反重力物質で覆われた星を舞台に、ラフナに満ちた外で暮らすには制約が多い先祖返りの男性と身の内のラフナが多すぎて他者との交流が慎重にならざるを得ない女性の話。
舞台は架空の他の星。ラフナと呼ばれる反重力物質が星を覆い、ラフナが生き物に取り込まれると浮力が生じる。バクテリアを含んだ岩がラフナを取り込み岩が水のように流れを形成する岩河が随所に存在する。
その岩河の流れを調査する観測士の女性と、探鉱に勤める青年の出会いから物語は始まる。仕事で青年の街にやってきた観測士の女性は内在する力が強すぎて周囲の影響力が半端なくあまり密接に人と関わりにくい体質、それゆえに他者では即死の河の調査もこなせる。一方で主人公の青年は先祖返り、つまり先天的に地上に満ちているラフナが毒になるので食事も呼吸も様々な制限がある体質、そのかわり炭鉱での仕事では面倒な手順を踏まずに仕事が進められる。そんな真逆の二人の交流、そして街の近くにある岩河の氾濫の懸念が物語の肝のよう。
ラフナの細々とした設定を含めた惑星の舞台設定に、ヒロインと主人公各々の過去と日常の中での立ち位置とか暮らしぶり、物語の肝の河の氾濫というすべての要素と構成と物語展開が無駄なく繋がっているところがすごい。緊迫した状況でない人々の暮らしの情景などもSF設定なのに等身大というか身近に感じるというかなな描写が絶妙。
主要登場人物が対峙するのが災害だからか他作品に比べシリアスな雰囲気が少なく重厚なドラマが苦手な人にも読みやすいかもしれない。

白井弓子
アクションコミックス全2巻 / 双葉社
ジャンル:青年・SF・ドラマ / 好み度:★★★★★