何かに固執する人間の本性を描いた猟奇的ミステリー。歪んだ状況におかれた人間の心理や行動の描写が生々しく哀しい、しかし目が離せない、そんなタイトル。
今では錯誤的とも感じる人間関係の設定がかえって新鮮に感じたり。つながりが妙に強い、親近婚すれすれな家系の一族の話は人間関係も人物描写も複雑怪奇でちょっと横溝作品を思い出しました。
舞台となる時代も主格となる人間の生活設定もばらばらの連作形式。ちなみに１エピソードにさかれる枚数もばらばらだったり。
作品自体は、ディモスの花嫁とか不思議な少年のようなスタンスといえばしっくりくるかな。人外のキャラ桜内が物語の影に存在し、エピソードの中心となる人間に、その人間が打開したい状況に適したと思われる特異なアイテムを与え物語を進め、対象となった人間が破滅したら桜内がその身に詰まった悲哀・恋情といった純粋な心情の結晶を飲むという構図。
基本はミステリー色の強い濃密な人間ドラマなんですが狂言回しが割となんでもありの人外キャラなので話に入りづらい人もいるかも。私としてはこの非現実的なキャラが存在しているがゆえに、本筋である濃くどろっとした人間描写もさほど鬱を感じることなく読めたのですが。
原田梨花
LGAコミックス１巻 / グリーンアロー出版社
ジャンル：女性・ミステリ / 好み度：★★★★☆