伯爵カイン 由貴香織里

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毒の収集家で有名な美しい少年伯爵カインの物語。
貴族社会の人間模様を描いたゴシックサスペンスシリーズ。中世~近代あたりの貴族社会の暗部とか近親相姦とか黒魔術結社とかドロドロの人の業が鮮烈に描写されています。作者の画と作品に漂う妖しい雰囲気がばっちりあっていますね。いわゆる魔少年の話ですがそれまで読んだ話の主人公は中性的というか針のような、感情の起伏が乏しい印象のキャラがほどんどでしたが、このシリーズの主人公はかなり人間くさいキャラクターになっています。それが返って親近感を持ちやすく、他の登場人物にも感情移入しやすくさせていると思います。初めて読んだとき時代は変わる...と思ったなあ(何のこっちゃ)。
難を言えば話が分かりにくいところもあります。事件の構成はいいんですが、人間関係が・・。単に私の理解する力がないだけなのですが; ...いまだに何でマリーとカインが兄妹になるのかが分かっていない私です(おいおい)。あとスプラッタな要素もあるので血がだめな人はちと読みづらいかも。まあ、作者の作品はほとんどそうなんですが。
2009年より文庫形態で再発売。

由貴香織里
白泉社文庫全6巻 / 白泉社
ジャンル:少女・ゴシックミステリー/好み度:★★★★★