日本最西端の島で暮らすことになった天才書道家の青年と島に住む人たちとの交流を描いた物語。
主人公は若干23歳で高い賞ををとった天才書道家。しかし自分の作品を酷評した重鎮を殴ってしまったのが原因でしばらくの間離島で暮らすことになる。違う環境で書に打ち込もうとする主人公だが、
昔ながらの家族的地域交流が生活の一部となっている島の住人にかまわれ、勝手がわからず戸惑うといった展開。
わけありでやってきた外の人間と邪気のない島の住人とのスローライフの描写を基軸に、損得で書いてきた主人公の書に変化がもたらされるという構成かな。基本はなんてことはない田舎の風景といった感じ。都会からきた主人公には驚きやら戸惑いやらが多い中徐々に心がほぐれていくという展開です。
無邪気な少女と主人公のコンビはほほえましいの一言に尽きますね。あと島の情景描写がすごく好きだなあ。
酷評した重鎮の「型にはまった字」という評は、賞のために書かれた書への評なんだとうなと感じたり。その時点での主人公は、自分の感性を表現したい芸術家ではなく採算を前提とした職人だったんだろうな。前者は他人がどう思うかは二の次で自分の書きたいものを書く、後者は万人にウケるもの(職業観点からいうとクライアントの望みどおりのもの)を書くという違い。どちらがいいものをつくるかってのは別の話ですが、重鎮は「この字は主人公自身の字ではない」と言いたかったのかなと。
ヨシノサツキ
ガンガンコミックスオンライン全18巻 / スクウェアエニックス
ジャンル:少年・ドラマ / 好み度:★★★★☆