子供が幼少時に離婚し祖母と母と子供3人で暮らす家庭の小学4年生の少女をはじめとする浪花の家族群像ドラマ。小学4年生の女の子がメインですが母親と同僚の若者の話とか若者自身の家庭の話など、複数の視点から物語が語られています。
浪花が舞台というとチエちゃんみたいな活力あふれる話を思い描くことが多いと思いますが、こちらは大仰な表現はなくしっとりとせつなくそして現実味のある構成だなと感じました。
自分の家計が潤っていない状況から裕福さをうらやましがる幼児の描写とか、自分の置かれた状況において寂しさややるせなさを感じていても状況を把握するがゆえに我慢する描写とか、それでもこらえ切れなくて泣く描写とか、3人の子供を育てる肝っ玉母ちゃんであり女性であるおかあちゃんの描写とか、険悪な間柄でもちょっとしたことで距離が近づく展開とか。登場人物たちのなにげない仕草や焦燥する様など、どの場面も本当にリアリティがあるんですよね。
客観的に見ると状況ははじまりとおわりではさほど変化はないけれど、それでもちょっとずつ先に進んでいっている、それなりに心に決着をつけるという終わり方もまた感慨深いものがありました。題名の手のひらサイズって各々が手のひらでつかめる幸せという意味なのかな。
天堂きりん
フィールコミックス全1巻 / 祥伝社
ジャンル:女性・家族ドラマ / 好み度:★★★★☆
このタイトルの良さが伝えられなくてジレンマ・・。