猫の街の子 モリエサトシ

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主人公・しろは芸者の子供だったがある日母親は主人公を置いて街を出て行き、以来主人公は飴屋のところに引き取られていた。主人公は飴屋の息子には懐かず、他の店で飼われている白猫を次の母親とみなしている。というのも自分を捨てた実母が白猫を大事そうになでていたのを覚えておりまた街の人たちも野良猫たちの面倒をよく見ている環境から、人間でなく猫なら母親やみんなに愛されると思い込んでいるがゆえ。
メインとなる幼い男の子である主人公の視点での描写は、童話の語り口のようであり、彼の感受性の高さと大人にはない鋭い観察眼が伺えます。それと同時に客観的な物語の進行は大人側の視点で行われ、2つの視点がうまくからみあって物語を形成しています。野良猫のエピソードもまたせつなく、舞台となる古都の風景描写も絶妙。
主人公の幼さゆえの世の理を把握しきれない理解しきれない部分を見守る大人たち。養い親や実母や男爵と呼ばれる男たちなど、どの登場人物も生粋の悪人はおらず、一見心無い行動に見えても実は愛する対象のための行動ということがツボどころか。

モリエサトシ
花とゆめコミックス全1巻 / 白泉社
ジャンル:少女・ヒューマンドラマ / 好み度:★★★☆☆