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いわゆるフィギュア製作業界物語。
火事で他界した仏像を作る仏師の父を尊敬し、自分も仏師を目指している青年が主人公。仏像の歴史などにも造詣が深い。そんな彼がスカウトされてフィギュア造形師の道を歩くことになる話ですが、そのきっかけは、亡き父が作っていたであろう火事で焼け焦げた小さな仏像の片腕。主人公は仏像と思っていたのですが実は仏を模したアニメキャラのフィギュアの腕だったという。
物語のはじめは仏像の薀蓄とか奥深さとかが滔々と語られていたのに、造詣の好みや質に関して病的とも言えるほどのめり込む女性の描写とか業界の不条理な実情とか業界の話に入るともう別物な話の流れに。まあ仏師がフィギュア業界に入る流れとしては自然だし、仏像も大昔のフィギュアと言えなくもないのは確かですが。
面白く興味深い題材だし内容が詰まっていて読み応えはあるのですが、著者が語りたい主題が見えそうで見えなくて戸惑うというのが正直な感想で。主人公が現代大衆的なフィギュアへの偏見を薄め仏像の善いところをフィギュア製作に盛り込むなど精神面の成長が肝なのかな。余談ですが仏を模したアニメに関する語りはいろいろと懐かしく感慨深かった（笑）。
小野洋一郎
イブニングＫＣ全４巻 / 講談社
ジャンル：青年・業界 / 好み度：★★★☆☆