リストラされた恰幅の良い元銀行員は赤字の劇団の制作・経理を担当することに。
人の好さが災いしてか自分の成績があがらずリストラされ別居中の妻からは何度も喫茶店で離婚届を突きつけられる元銀行マン。主人公は、何度も同じ喫茶店で悶着するため彼の内情に詳しくなったウェイトレスに、彼女の所属する劇団の公園チケットを渡され観覧に誘われる。
狭い劇場をフルに活かした公演に感動しなしくずしに劇団の打ち上げに参加、その縁から主人公は劇団の制作・経理にスカウトされる。
件の劇団は人気はあるものの規模が留まって公演のたびに赤字が出る、数多ある小規模劇団と同じ状況。演技という根幹の問題以外の現状の問題点を探りつつ成長を促すという点と、まったくわからぬ演劇の世界の裏方に入ったことにより、かつてラグビーで培ったチームプレイや、現在の作られたものでなく本当の笑顔を得るといった主人公自身の意識の変化の２つの軸を描く物語。
経費の使い方、脚本から公演までの流れなどの裏方というか経営関係のエピソード、役者などのスタッフたちの衝突や切磋琢磨など演劇に関するエピソードを交えつつうまくまとまった内容。
業界ものにありがちなコアな構成ではなく、演劇のなんたるかを良く知らない私でも有意義に読めたタイトル。
ナカタニＤ．
ビッグコミックス全1巻 / 小学館
ジャンル：青年・業界 / 好み度：★★★☆☆