19世紀欧州。戦功をあげ出世街道を歩む青年少佐は、戦争が一旦終わるとともに同盟を結ぶ小国の士官学校の教官として赴任することになる。
中世のヨーロッパを舞台にしていますが登場する国家は架空のもの。主人公は軍事大国に属し若いながら有能で結果も出しており出世が待っていると思いきや自身の予想から少々ずれて同盟小国の軍政改革を進めるため士官学校の教官として赴任することになる。そして実際赴任してみると件の国は戦略や武器など戦争技術がかなり遅れていた。
学校が市街地にあるゆえ市民感情に左右されがちな状況や旧式の武器・兵器、アナクロな戦争技術。元々戦場での能力が高いものの、軍事後進の場所で教官という未経験の任務に主人公がどう動くかが物語の最初の肝。
また舞台の小国は王政で王族の訓練長と衝突するなどトラブルに事欠かず、自国の思惑がからみスパイ活動もすることになる、という展開。
小国と大国各々の思惑、主人公と周囲の人間たちの立ち位置と関係と心情描写。個人・国家両方の複雑な絡み合いと、中世の戦術・戦争技術などの詳細な描写が見所のタイトル。
戦争ものは個人的に身に詰まされる気持ちになるので苦手な分野なのですが、こちらは戦争と国家間の現実をきっちり描きながらも、主人公のキャラが飄々としていて基本的に明るく前向きな気質、そして戦争に関する知識も状況の判断能力も高く切り替えしがゆえか堪能できる構成でした。
中島三千恒
バンチコミックス１～ / 新潮社
ジャンル：青年・戦時ドラマ / 好み度：★★★★☆