第二次世界大戦あたり、ナチスドイツで迫害を受けた人たちを依頼により逃がす集団・暁のブレーメンによる脱出劇とその依頼人もしくはメンバーのドラマが基軸になっています。
ブレーメンの名のごとく、見た目は5人の楽団。音楽自体の実力もある彼らは楽団の旅で依頼人を逃がす。もちろん武力系統の実力もありという設定。
音楽にしろ絵画にしろ芸術を統制しようとするナチの描写は今のアレにも通じるものがあるような。ヒットラーが独裁者となるまえの過去をモチーフにしたエピソードもうまく組み立てられています。
巻末収録の短編・狂絵師化丸は江戸時代に出された解体新書に絡む物語。死体を解剖し臓腑の仕組みを知る研究をする蘭学に携わる人たちを、天才的な絵師が見るという構成かな。人のエゴというか傾倒したものへの執着というか。そして一見別のものへの執着に見せて本当の対象は別にあるという奥の深さも。ちなみに代書屋佐永のスピンオフ。個人的に佐永のシリーズよりわかりやすい印象に残った話だったり。
山下友美
ぶんか社コミックスホラーMシリーズ全1巻 / ぶんか社
ジャンル:少女・ドラマ / 好み度:★★★☆☆