I [アイ] いがらしみきお

Amazon
I [アイ] をAmazonで見る

東北の地。神がかり的な能力を持つ身寄りのないイサオと、生と死の意味を苦悩する医者の息子の雅彦。雅彦は高校入試の日、イサオが生まれ出でたときに見たというトモイを探す旅を決意する。
自己という認識、人が本能的に持つ生と死の恐怖とか疑問とかといった哲学の話というか。まあ突き詰めると生きるって何ってことなのかなと漠然と。
生い立ちと幼少時の境遇から浮世離れした少年イサオは、生まれたときの記憶を持ちその際目神のような存在・トモイと遭遇している。そしてある出来事から、人の魂を自分に乗りうつさせ人が自分の外から自分を認識させるような力を見せる。イサオと同級の医者の息子雅彦は、家業からか人の生と死の意味を常に考え続けていた。
そしてイサオが雅彦の家に引き取られたことからそれなりに近しい関係になり、ある日2人は、トモイを探すという旅に出るという流れ。まあいったん別れたりまた一緒に旅をしたりと決して単調ではないのですが。
人の固定概念を超越したイサオの言葉とか人間視点の雅彦の疑問とか、イサオの特殊な能力にある村が彼を崇め宗教のような展開になったり、とサスペンス展開を含みつつ哲学とシャーマニズムを突き詰めたような話というか。
一口では言えないような難しさがある主題の割に、読んでみると思ったより読みやすいなと感じる構成。雅彦が旅に出ようと決めるときなど、考えて動いたというより魔が射す(というと変ですが)、ひょいと本能的に決めた、事態が動いたかんじ。ああー、作品の空気をうまく説明できないもどかしさ。端々に覚えのある感覚が蘇るところがあるんだよねえ。

いがらしみきお
IKKIコミックス全3巻 / 小学館
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★☆☆