ヒニイル 加藤雄一

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空に浮かぶ謎の物体・空墨による災厄から10年後。幼馴染の少女に秘かな思いを寄せる少年は、空墨によって変質してしまった彼女を守るため炎を燃やす。

主人公の少年の視点で、主人公がひそかに思いを寄せる面倒見のよい幼馴染の少女やクラスメイトとやりとりから、10年前に空に浮かぶ謎の物体・空墨による災厄があったものの世界は日常を取り戻しているとわかる。そしてごく普通の日常からまったく唐突に災厄が再びはじまる。クラスメイト、そして幼馴染も球体に飲み込まれ主人公自身も右手をもっていかれる。
地球外生命体襲来のパニック系アクション。主人公は右手をちぎられたことから炎系の特殊能力を取得し、呑まれた幼馴染の少女は人間でないなにかになるものの記憶?が残っているのか主人公の名前を言い主人公を守ろうとする。
敵の生命体に対抗・研究する組織があり、主人公はスカウトを受ける。のだが主人公の最重要事項は変異した幼馴染を今度こそ守ることであり、それだけのために行動すると公言する。
客観的にみれば主人公の行動は身勝手なのだろうが、二人の関係の描写とか変異した幼馴染の様子を見るに、読み手に主人公の行動に共感し応援させる説得力があるところが秀逸。組織の面々はこのテの話によくある、主人公たちを力でねじ伏せる人物たちであるにはあるのだが、わりと早い段階で双方にそれなりに納得できる関係を結んでいるところが個人的に良かった。あまりに辛辣な展開は途中で投げ出したくなるからね・・。異質な生命体の謎において変異した幼馴染は物語のファクターであるようだがどう話が進むのか続きが気になるタイトル。

加藤雄一
角川コミックスエース全5巻 / 角川書店
ジャンル:少年・アクション / 好み度:★★★☆☆