フォースは諸国行脚と称してのグルメツアーや着飾りの派手さで悪目立ちする存在、英理・ロレンスは長男の代理を勤めるほど誰もが一目を置く優秀な存在。どちらも各々の目的のために諸国を旅しており、英理は、フォースをある貴族のパーティで見かけて興味を持ち、フォースの使用人であり特殊な技能を持つりくをきっかけに同行する機会が増えるという展開。
話の筋としてはこれという明確さがないぼやーんとした印象を受けます。でも惹きつけられる魅力が多分にあるのです。この話って何が主題かと思いあぐねていたら、折り返しのコメントに、タイトルの候補に有閑貴族とあったのを見てものすごく納得しました。
おそらく主人公はフォースかと思うのですが、物語の主たる視点は、いまのところ英理側です。常識では行わないだろう行動をする一方で、考えなしでもなく独自の価値観を持っており、確固たる己の能力を持つ人脈を持つフォース、彼の使用人2人の使用人らしかぬ主人に対する態度、りくの特殊な能力などなどが気になるというかんじ。
フォースやりくの言動には含みとか謎が内包されているようで、彼らを観察する英理の心情はほぼ読者のものでもあり。フォースたちの奇妙さも目立ちますが、英理のモノローグもぼやっとしているとかテンポがゆっくりというか独特で印象的でした。
フォース側3人の旅の目的とか彼らの関係とか、英理側の家事情とか、これらは伏線になってるのかなあ。
あっと驚く謎が出てくるのかそれともこのまま煙に巻いたような展開で終了するのかとても気になるタイトル。
あき
ゼロコミックス2巻 / リブレ出版
ジャンル:少女 / 好み度:★★★★★