山奥の朽ち果てた神社の少女の姿の付喪神とひょんなことから神の力を二分して持ってしまった青年作家と作家のお手伝いさんの少女がか関わるモノとヒトを巡る和風ファンタジーコメディドラマ。
伝承・民話などを題材にした作品を書く物書きの主人公は、山奥で何の神を祀っているかもおぼつかない朽ち果てた神社に居をかまえることになる。お手伝いさんの少女とともに引越しの片付けをしていたところ、勝手に物が動いたり2人以外の気配を感じたりと奇妙なことが。
そうしているうちにその神社に祀られていた付喪神の少女が登場。勝手に居を構えたとして怒った神の少女と主人公がもみ合ううちに神の力の一部が主人公に移ってしまう。そうして人間の形をとったまま実体化し神として不完全な状態となった神の少女と主人公とお手伝いさんの同居生活が始まる。
かわいい風貌の神様のコメディと言うと萌えっぽい展開を想像してしまう場合もありますが、こちらはその要素は薄いかな。いやそれっぽい記号はちりばめられているもののあざとさが少ないというか。主人公の青年は少女たちに恋愛系の好意を持っていないと感じるからか。
主人公と神の少女に二分してしまった力を神の少女側にきちんと戻すことを物語の主軸におき、彼らが関わるモノと人のエピソードも綴っていくという展開のよう。主人公がお坊ちゃんで家族関係は複雑そうという伏線もあり。主人公ぞっこんの妹も登場したりしますが。
ストーリーも読みやすく変に凝っていなくていいのですが、個人的には主要人物たちのキャラ設定や会話などのやりとりのテンポがすごくツボでした。
神の少女の子供っぽい面と神らしい凛とした面が同居しているところとか、お手伝いさんの少女のちょっと古風な言い回しとか主人とツーカーなところとか真面目で情が深いところとか、主人公の飄々としたうさんくさい笑顔とかがたまりません(笑)
明快な雰囲気、シリアスとコメディの絶妙な配分、萌えに頼らず、各エピソードの主題を自然に読者に伝える構成。秀逸なつくりで万人向けのタイトルかと。
時任奏
REXコミックス全3巻 / 一迅社
ジャンル:少年・ファンタジーコメディ / 好み度:★★★★★おすすめ