怪盗紳士として有名なアルセーヌ・ルパンのコミカライズ作品。原作を元に著者独自のアレンジを加えてのタイトルのよう。
アルセーヌ・ルパンといえば怪盗、ルパン三世のじーさまという認識しかなく、そういえば原作を読んでいなかったことにいまさら気づく。ホームズは原典で読んだのになあ。で、読んでみるとしょっぱなから意表を突かれる。
豪華客船で仕事をしたのはいいけどつかまっちゃう展開。そしてルパンって想像より情が深そうなかんじ?
壮年タイプではなく青年風なのはアレンジだろうけど余裕綽々で不適なルパン像を如実に描いている印象。刑務所に入るということはルパンの作戦の内で、裁判や脱獄関連のエピソードを通して人間心理をうまく突いた展開が繰り広げられるわけですが実に面白い。
ルパンは一人ではなく彼の指示により見事に立ち回る信頼のおける仲間の存在も大きい。三世の人間関係はやはり原典を元にしてあったんだなとしみじみ。
演劇のような演出が印象的ですが時代背景や当時の雰囲気とあいまって大仰さに白けることなく読めるところが良。エンターテインメントを意識しつつもわざとらしくというほどでもないバランスというか。
原典を知る人にとってどう映るのかわかりませんが私は面白かったです。冒険ものの元祖ということで話自体は見慣れたものかとも思ったのですがアレンジのしかたがうまいのか確かに基本の展開ではあるものの新鮮さを感じました。
著者自身がルパン帝国再誕計画コミックスとして再編した電子書籍版もあり。
森田崇 / 原作:モーリス・ルブラン
怪盗ルパン伝 アバンチュリエ /ヒーローコミックス / 小学館
アバンチュリエ / イブニングKC / 講談社
ジャンル:青年・活劇 / 好み度:★★★★☆