元禄時代・将軍綱吉の世の江戸。旗本次男坊の青年は、せんせいと呼ばれる謎の男のとの出会いをきっかけに怪奇を装う陰謀に関わることになるが。ヒトに変化する獣の性とヒトの業を巡る獣と陰謀と呪術の物語。
題名にもあるように将軍綱吉が生類憐みの令を出したとされる時代ですが、このころの江戸の町は元禄文化華やかなりし平穏な時代でもあり。
旗本次男坊の青年を狂言回しに、人に変化できる獣の妖怪・せんせいを主軸に物語が展開されていきます。せんせいは綱吉に就く隠密であり江戸の治安保持と将軍に降りかかる陰謀と対峙したりという役割。旗本次男坊は知らずその渦中に関わることになるという流れ。妖怪・呪術が絡むオリエンタルファンタジー活劇がメイン。
将軍・綱吉も登場しますが、昔草薙氏が演じたドラマの綱吉のようなキャラで、温厚と慈悲を絵に描いたような争いや諍いを避けたい人物像というのが特徴。あと悪制と名高い生類憐みの令は実は太平の世の暇な町人のうわさが発展したものという設定が実に興味深かったです。
水戸の御大が悪役という、割と根強いイメージをひっくり返した使い方が絶妙だなと思いました。それにしても主役級の謎のお武家に寄り添うのは少女、というのはやはりデフォなのか。好きだけど。
篠原烏童
Feelコミックス幻想コレクション全4巻 / 祥伝社
ジャンル:女性・ファンタジードラマ・時代物 / 好み度:★★★★★