トランスジェニック・ラボラトリ 厦門潤

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脳神経細胞データから記憶を保存しダウンロードでき、記憶を保有してのクローン技術が確立した時代。しかしそのクローン技術は、世界にとって死亡することは損失にあたる数十人の人間「エタニティ」にのみ適用されている。
エタニティの1人である主人公の青年は、世界が混乱した時期に事態の収束に貢献した人物だが、クローン再生に異議を唱える団体の標的になっており、度重なる死と再生に、死ぬために生き返っているとさえ感じるようになっていた。そんな中、男性体の素体が間に合わず女性の体で再生されたことから物語ははじまる。
久々の厦門潤名義の作品。男の主人公はストックの女性体で、彼を死に一役買ってしまった少女は主人公の男児の体で再生する、あと暗殺者の少年も彼の遺伝子ゆえに女性体に、という確かにTS。うまいな。とはいえTSというお題よりも描きたい要素を思いっきり詰め込んでるな~という印象。ゆえにバイオテクノロジーと倫理や政治や宗教などとの関係と人間模様を描いたガチなSFアクションといったほうが良い内容。主要人物3人の置かれた立ち位置がそのまま物語の構成につながっている、のかな。シリアス系の独特な人物描写も久々な気がする。
TS目当ての人よりもTSに抵抗がある人が読むと楽しめそうなタイプのタイトル。あと骨太なSFをおいしくいただける人にはかなり楽しめるかと。

厦門潤
TSコミックス全1巻 / 少年画法社
ジャンル:青年・TS / 好み度:★★★★☆