江戸時代は現代には見られないまれに見るリサイクル・エコロジーな社会構造だった、というのはちらと聞いたことがありますが、その題材を、旗本の次男坊の生活を通して描かれる薀蓄込みの江戸時代日常コメディ。
旗本の次男坊だが何不自由ない暮らしから学問で身を立てようと庶民の長屋に一人暮らしをしている主人公。庶民の暮らしは何から何まで初めて状態の彼を通して、江戸時代の民衆の暮らしを描くという構成です。
質素かつ無駄のない生活習慣、食文化など。情報がわかりやすく提示され物語とちゃんとあわさっているソツのない描写で、大変読みやすかったです。題材に興味がなくとも楽しめる内容で、読んで損はないかと。
また薀蓄がらみの日常生活の描写だけでなく、主人公自身の進退や恋愛などの物語もきちんと描かれています。許婚というか自分を慕う女性がいるもののその女性にはあまり傾倒せずほかの好みの女性に片思いという設定。
確かにエコな生活なんだけど衛生面からみると今のほうが格段に上がっているだろうし一長一短。あと江戸時代に限らず昭和30年代くらいまではけっこう無駄のないサイクルだったはず。
ラズウェル細木
SPコミックス全1巻 / リイド社
ジャンル:青年・時代 / 好み度:★★★★☆