ベストセラー作家である父の威光により特別に学校内の図書館で過ごす車椅子の美少女・桜と、彼女の世話係となった男性司書教諭。ベストセラー作家の作品に因縁を持つ娘・教諭、そして教諭を慕う女子学生が綴るヒューマンドラマ。
父の威光もあってか自分の世話を他者が見ることが当然としているような斜に構えた美少女、かつて作家として作品も出したが鳴かず飛ばず、少女の父のような作品を、と担当に言われたことから秘かに憎悪を抱き続けていた教諭、教諭に執着を感じ少女に嫉妬を感じた女子学生が、各々が抱えるものを相互にぶつけることにより織りなすドラマ展開。
古典文学作家の私小説のような文学的で赤裸々ともいえる内容だった。歪んだ感情の衝突し火花を散らすような展開だが、不器用で実直な彼らの心情描写はむしろ清々しく感じる不思議。等身が低くポップな絵柄、どちらかというとキャラクターものでもいけそうな造形なのだが、キャラの表情が素晴らしく内容としっくり合っているところがすごい。
中野でいち
リュウコミックス全1巻 / 徳間書店
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★★☆