乙女×乱舞 今村陽子

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主人公は常にぼんやりと日々を過ごし感情の起伏が極端に乏しい少女。それは記憶をなくしているゆえなのか。そんな中、女王様気質な発言をする美少女・雪爾が転校してくる。彼女は蕾にキスをし下僕にしてやると宣言する。驚きつつも茫洋とした気質ゆえあまり抵抗もなく状況を受け入れる蕾。そしてこのことにより蕾は失われた記憶と定められた運命を思い出していくという流れ。
雪爾は人に憑く式神を狩る一族であり蕾を下僕と称したものの実際はともに狩りをする舞伴ということで。
蕾と雪爾、そして冒頭から登場する周囲から高い評価を持つ男子生徒と中盤で登場する雪爾の兄であり一族の頭領の青年がメインキャスト。主人公の記憶の謎と一族の様相、各々のキャラの様々な心情描写とか絆の行方、一族における微妙な立場などなど複雑な要素の絡み合いが物語の肝。それゆえのせつなさとやりきれなさの描写もありますが陰鬱というより静謐な雰囲気が印象的。
話の展開上、退魔アクションはありますが描写自体はちとぎこちない感じが無きにしも非ず。アクションにあまりページを割いていないからか。
女性同士のキスシーンがありますが本筋に関わる設定ゆえなので百合ではないはず。
著者の描く話ってどれも独特な雰囲気を持つというか展開が予想できなくていい意味で虚を突かれることが多いのが特徴。このタイトルも例にもれず。ラストは少々ばたばたしてご都合主義とも言えなくもないですがハッピーエンドだから良し。

今村陽子
KC×ARIA全1巻 / 講談社
ジャンル:少女・オカルトアクション / 好み度:★★★★☆