家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。 K・Kajunsky / ichida

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なぜか死んだふりをして夫を迎える奥さんの行動からはじまる、とある夫婦の日常を夫側の視点で綴られたエッセイもの。
著者はごく普通のサラリーマンの男性。結婚後、奥さんが死んだふりをして帰宅した旦那さんである著者を迎えるという行動が続き、いろいろ心配になった著者はyahoo知恵袋で相談したことがはじまり。その後ブログに移行し書籍化に至る。
漫画の担当はなんか見たことあるなあと思ったら虚構新聞の人だった。著者夫婦の日常は傍から見るとシュールかつほのぼのなので作画担当の人の作風というか描く雰囲気とぴったりで当たりだなあと。
全編漫画化されているのかと思いきや著者の文章によるエピソードも割りとあり。著者のブログを見るに漫画では表現しにくい内容だからだそう。著者の文章は淡々として明快で読みやすかったです。まあ出来事が面白くてもそれを伝える文章がアレだったら人気は出ませんよね。なんか1粒で二度おいしいかんじでした。
漫画も文章も淡々と穏やかな空気を纏いつつ、エッセイものなのに事実以上のなにかを読み手に与える内容。詩的というか物語的というか。
エピソードは題名の通り奥さんの行動とか夫婦間での会話とか。あと著者夫婦の馴れ初めの話もあり。個人的にこの馴れ初めエピソードがとてもツボだった。私見ですが奥さんは自身の感性に正直な人なんだろうかと。稚拙という意味ではないこどもの純粋さみたいな心を持ち、できることはきっちりできるけどできないことはとことんできないタイプゆえ社会において器用に動けそうじゃないけど隠れた何かを持つタイプのような。人様の奥さんを勝手に分析してすいません。奥さんの気質も著者の気質も好きなんですよう。相性がぴったりな夫婦という感じがする。ほっこりする間柄というか理想像な関係というか。
あと夫婦の会話が丁寧な言葉使いなのも良い。まあ著者も言及している通りいつもこんな丁寧語ではないんだろうけど。
表紙カバーの返しにもある奥さんの言葉がまた印象的で深い。そして作画担当の著者のデザインが何故か萌える。めがねリーマンが好きだという人の気持ちがちょっと分かった(笑)

著者:K・Kajunsky / イラスト:ichida/PHP研究所全3巻
ジャンル:エッセイ / 好み度:★★★★★