蜂の巣 峰倉かずや短編集 峰倉かずや

Amazon
蜂の巣 峰倉かずや短編集をAmazonで見る

治安の悪化に伴い死者の尊厳を守る葬迎屋の二人の男の物語「蜂の巣」とアンソロジー用に描かれたさまざまなお題の短編5話を収録した作品集。
「蜂の巣」
治安の悪化が進み新しい死体から臓器を奪う臓器荒らしが横行、そのため死亡が確認された一般市民の遺体はすぐさま役人による回収が義務付けられることになる。通称葬迎屋と呼ばれる保健所の回収役は一般人からは忌諱されていた。そんな葬儀屋の男性二人が関わる物語。
葬式もゆっくり出せない世知辛い世界。遺族は悲しみもそこそこに大切な人間の亡骸を持っていかれるジレンマ。主人公のコンビは中年のおっさんとシニカルな眼帯青年。彼らの仕事の一幕、さまざまな形での死者と生者の別れ、臓器荒らしを組織的にやる臓器屋との小競り合いなどなど。1話完結形式で数話収録。「死」というテーマを著者らしいスタイリッシュさとユーモアでまっすぐに描かれたシリーズ。
「蜘蛛の巣」
蜂の巣番外。臓器屋組織のトップの青年と秘書の話。著者らしいキャラだよなあ。ほんと。
「星の王子サマ」
テーマ・姫と王子。魔界の王子サマは兄たちの口車に乗り地上の人間に嘆きなどを与えるという継承試験を軽いノリではじめる。殺したのは悪党の巣。囚われていた目の見えない娘が擦り寄って・・。ブラックだけどめでたしなオチの御伽噺。この話結構好き。語りネームがすばらしい。
「FLIES」
テーマ・賊。著者が同人誌で発表したシリーズ。の予告編みたいな構成。無法世界の活劇みたい?
「侍」
時代劇ホラー。小泉八雲の怪談を映像化したみたいな。
「オオカミと七匹の小ヤギ」
テーマは擬人化。えええ擬人化テーマでこうくるか、やられた。みたいな。有名寓話を基軸にした現代の話。怖いですグロいです。読ませます。本編とは関係ないけど原典の七人の小ヤギの隠れ方は・・正直惨劇でしかないはず・・。

峰倉かずや
ゼロサムコミックス全1巻 / 一迅社
ジャンル:少女・ドラマ・ダークファンタジー / 好み度:★★★★★

カバー折り返しで自身を不死鳥っぽいと書かれていますが、ぽいじゃなく充分不死鳥だと思う。