バスケをやめた少年、フラメンコをやめた少女。互いの夢が入れ替わるように新しい道を進み始める。リアルで細く強い絆を描いた青春物語。
中学時代、バスケ活動で慢心からの焦りにより事故を起こし周囲から隔絶され不登校で引きこもり状態だった少年は、高校は遠方に進学することになる。また心を沈ませている要因には、主人公が事故で怪我をさせた男子の妹に怪我をさせられ傷を残した妹のこともあり。別居状態だったが高校入学を機に妹も自宅に戻る。
そしてフラメンコをやっていたが才能がなく諦めざるを得なかった女子と出会い、その女子は主人公の言葉によりバスケを始め秀でた存在となったという状況もあり。
これらの要素を物語の基盤として提示し、主人公が、屋上で出会った女子の置き土産のフラメンコ用のシューズをきっかけにフラメンコを試みようと動き出す流れに。
静かになんとはなしな日常の行動の中で思いを巡らせ踏み出す情景描写と心情描写、性急過ぎずリアルな日常を過ごすなかでゆっくりと進んでいく丁寧な話運び。
個人的に主人公の妹の兄を想う描写が印象的だった。そして一度は妹に八つ当たりをしたものの妹の情を知ったときの主人公の表情も。
佐原ミズ
少年サンデーコミックススペシャルゲッサン全6巻 / 講談社
ジャンル:少年・ドラマ / 好み度:★★★★☆