家庭環境などから自分は愛されない存在だと思い込み静かに生きていた地味女子の前に、13年前に別れた実の妹が現れる・・のだが、彼女にはなぜか羽が生えており・・。
主人公の女性は、自分は愛されない・選ばれない存在と認識する地味系女子。そんな主人公の前に、親の離婚で離ればなれになっていた妹が現れる。その妹には天使のような羽が生えていた。姉である主人公をある種病的なくらいに慕っており離れないので、なしくずしに主人公は妹と同居することになる、というはじまり。
妹は気質も風貌も愛らしく、主人公と違い両親の愛情も受けていた。状況的に主人公は妹を疎ましく思いそうだが、羽が生えている妹の姿とか、自分に対する過干渉なほどお姉ちゃん好き好き態度に戸惑ったりとかはするものの、なんのかのと主人公自身も妹が好きで妹に負の感情をぶつけるみたいなことはないってかんじ。
読み手側でもツッコミたい状況は伏線としてさておかれており、主人公と妹との生活とか、主人公のバイト先の同僚であり、おっとりとした気質の「ハンサムな女子」を、客観的な立場に据えての交流などが茫洋と描かれていく。
妹の羽は主人公と同僚以外には見えず、妹の姿自体は他者でも見えているようなので、妹は幽霊・・ではないようだが、身体が弱いという設定があるようで、幽体離脱的な状況なのかな~と思ったり。
手前勝手な両親の態度とか、羽に対する追求も置いておくなど、話運びには引っかかるものがあるのは確かなのだが、その辺を覆い隠すほど達者な画力と画面構成。ちょっとせつない雰囲気のある、ある意味妹と主人公の蜜月みたいな話だなと感じた。物語が佳境になれば伏線の意味がわかってくるのだろう。個人的には心に響く、とまではいかないのだが、どういう結末になるのか気になるタイトルである。えーとやっぱりこれは百合系漫画といっていいのだろうか。
伊藤ハチ
MFコミックスフラッパーシリーズ全4巻 / メディアファクトリー
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★☆☆