突然変異で高いIQを備えた白猫のしらたまくんとクラスメイトの女子・葵をはじめとしたクラスメイトたちが織りなす学園日常漫画。
高校の入学でテンションが上がるヒロインは、入学式に自分のとなりにしろい猫が座っていることに仰天する。その猫少年、しらたまくんはクラスメイトでもあり、突然変異?により人間並みというより人間の中でも高いIQを持ち会話もできるのだと知る。当時メディアでも話題になり世情に疎いヒロイン以外は周知の事実で、それゆえに周囲はしらたまくんの接し方に戸惑いが多いよう。しかしヒロインはよく言えばおおらか悪く言えば無神経なキャラゆえに周囲が気を遣って聞かないことをズケズケと聞き、しらたまくんのほうもその態度に好感を持つ、といったかんじ。
ヒロインの質問から始まるふたりのぼけ突っ込みなコントのような会話や日常の様々なイベントを通して、猫少年の様々な面が明らかになっていったり、ヒロインがきっかけでクラスメイトとも打ち解けていったり、といった展開が続く。
一見出オチで先に進みそうにもないかなと思ったのだがそれは杞憂で、ごくありふれた出来事においての猫少年とヒロインとクラスメイトのやりとりは読んでいて楽しかった。話に盛り上がりがあるわけでなくキャラの所作にインパクトがあるわけでもないのに、いいな、と思える内容。猫であるゆえのイレギュラーはあってもそれがいい意味で味が出ているし、ごくごく普通の日常を暮らすほっこりさを堪能できるというか。物語の視点を猫少年ではなくヒロインにしているのが功を奏しているように思う。
稲葉そーへー
ヤングジャンプコミックス全12巻 / 集英社
ジャンル:青年・学園コメディ / 好み度:★★★★★