アリョーシャ! 近藤るるる

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北の国の工作員の少女・アリョーシャは自国の独立クーデターにあわせ潜伏先の日本の学校で敵の大国の大統領を暗殺するという最後の任務を帯びていた。しかしクーデターは失敗、上司からの最後の連絡と任務は「普通の高校生として生きろ」だった。
本来なら暗殺後自殺するという特攻任務から一転、それまでの諜報員としての生活と真逆で未知の「普通の生活」をすることになった主人公。それまでの生活と普通の高校生の生活のギャップを考察する彼女のモノローグや天の声(スパイもの系解説ネーム)、普通の高校生としては無駄に高いスペックによる不協和音にうろたえたり日本の食文化などに感激したりする主人公の描写が楽しい。表情の薄い美少女が、傍から見てコミカルな行動をするというギャップがツボなんですよねー。
普通の高校生となるため周囲の人間ともコミュニケーションをとるようになったり仕送りがなくなって生活の糧を探す際の出会いがあったりとエピソードの引き出しが多いのも特徴。また優秀かつ危険な諜報員である彼女を関係機関や組織がほおっておくはずもなく、狙われることとなるが、何故か親しくなった金持ちでおっとりした同級生と取り違えられるという事態に。で、主人公は友達である同級生を守るという展開になり、その過程でFBIのオタ女性とも友達という繋がりができるという流れ。
キャラ重視の薄いコメディでなく、様々なエピソードを重ねつつそれらはスパイものとしても学園コメディとしても無駄のない読み応えのある構成。
本格スパイものほど殺伐と重くなくライトなコメディを混ぜつつも物語はしっかり作られているというところか。設定だけ見るとさりげなくありそうな内容なんだよな。
余談ですがアリョーシャ(男名の愛称)という題名に女の子の絵なのでてっきり男の娘の話かと思ってしまった。まあエドワードの愛称にエディがあるしね、アリだよね(笑)

近藤るるる
アワーズコミックス全5巻 / 少年画報社
ジャンル:青年・スパイコメディ / 好み度:★★★★★