春の呪い 小西明日翔

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妹が若くして病で死亡、その後姉は妹の婚約者だった男性とつきあう事になる。
両親の離婚、その後父の再婚と複雑だった家庭環境の姉妹。姉妹は前妻の子で、父と継母と腹違いの弟と生活していた。そんな環境で姉妹は寄り添って生きてきた。そんな中、父の血筋が財閥系でその血筋目当てに妹に見合い話がくる。妹は相手に惚れ、つきあい出すのだが直後妹は病に冒され若くして亡くなる。
姉にとって妹は肉親以上の唯一無二の存在であると同時に自分の感情に嫌悪と空しさを感じていた。そんな妹を失い残された姉は後追いしそうな精神状態になっていたが、妹の婚約者が姉にある提案をし、姉は条件付きで彼とつきあうことになる。
妹の婚約者は妹が生きていた頃から姉の方に心惹かれており、かといって妹との婚約は拒絶するでもなくだった。婚約者もしかれたレールに乗る人生でそれに疑問もなく生きてきた、どこか空虚な部分がある模様。妹は生前に二人の感情を察知しており、妹のいまわの際の言葉は自分の死後のふたりのことを鑑みてのことなのだろうと想像できる。
姉の家族、男性の家族などとの人間模様、姉と男性と妹の各々の感情、他者に関する感情の描写。どうにもならない状況の絶望、様々な感情がないまぜになる描写。舞台設定はドラマチックなのだが、物語自体はどこまでもリアリティがある、と感じた。
この手の恋愛ストーリーだとやたら長くなるきらいがあるが、わりときっちり細部まで落とす部分も曖昧に流し主題を明確にして比較的短くまとめているのも好印象。長編だと飽きることがままあるもんで・・・。ストーリー構成はほんとうに見事だと思った。
ただ、本当に細かいところなんだけど、シリアスな人物同士のやりとりの場面で漫符の汗をキャラにつけるのはちょっと興ざめに感じて気になった。

小西明日翔
ゼロサムコミックス全2巻 / 一迅社
ジャンル:少女・ドラマ / 好み度:★★★★★