とある理由で魔王(の分身)と勇者の刻印があるのでたぶん勇者(笑)の一般人以下の戦闘力の青年が魔王と勇者のルーツを探しつつ魔王討伐の道を歩むゆるゆるファンタジー4コマ。
300年前に勇者が魔王を倒したという伝説がある世界で、300年ぶりに魔王が復活した影響でか魔物が活性化している状況。そんな中、勇者の刻印があるので勇者の生まれ変わり?らしいが戦闘能力はかなり低い青年と、ミニマムサイズだが戦闘力はかなり高い妖精が、どうも魔王討伐の旅をしているシチュエーションから物語は始まっています。
で、ネタばれしてしまいますと妖精は、なぜか可愛い女子の性格と容姿で復活した魔王の分身。そしてなぜだか魔王が自分を倒す勇者を探し魔王退治を誘って旅をともに続けている状況です。現在の勇者はパン屋の息子でごくふつうの生活をしていましたが、古の有名PRGのようにいきなり勇者として旅立つ羽目に。すぐさま勇者の力に目覚めるわけでもなく、最弱下級魔族すらてこずる有様ながら、旅の途中で戦ってみたり勇者の武具を探してみたりといったかんじ。300年もたっているので勇者のルーツはほぼ観光化していたり武具を見つけても使い勝手がよくわからなかったり。
勇者と魔王の分身の妖精サイドのやりとりや旅のエピソードと、勇者と分身の旅の経緯を眺めつつの魔王の城で女子の姿の魔王本体と記録係の側近の魔族ほかのやりとりが交互に展開されていきます。
勇者は魔王を倒すぜ!という正義感とか熱血とかとは程遠く、現魔王もそれまでの魔王としての記憶がないためか平和主義というかそんなに人間を滅ぼすのに消極的という。どちらもなんとはなしに気の抜けたノリだったり、たまにイラっときたことを黒くぶっちゃけたりといったシチュエーションがすごく面白いのです。
独特のコメディなノリのみで展開されるかと思いきやちょいちょいシリアスな場面も差し込まれており、旅という物語を地味に進めているあたり、単なるいきあたりばったりの4コマでないところが良いですね。
双見酔
まんがタイムKRコミックス全4巻 / 芳文社
ジャンル:4コマ・ファンタジー / 好み度:★★★★★