どこか懐かしさを感じる街並の一角にミシン1つで一点ものの服の制作やお直しを請け負う南洋裁店がある。祖母の志を受け継ぎ一生物の服を作る信条を持つ女主人・市絵と客たちの物語。
主人公は祖母から洋裁店を引き継ぎ一人で洋服を作る女性・市絵。技術は高いが頑固で口下手という絵に描いたような職人気質、とはいえ女性らしい柔らかさは持っているというキャラ。
彼女は百貨店にも服を卸しているが取り扱いは一店のみで即日完売状態。百貨店の企画を担当する青年は、その現状からブランド化してネットショップ販売をすれば相互利益になると市絵に交渉するが、というはじまり。
最初のエピソードの後、主人公の服に傾倒する百貨店の青年は物語においてレギュラーとなり、主人公自身の変化や彼女の客との交流などに深く関わっていくことになります。
祖母のように一生モノの服を作るを信条や時代の流れにあわせ形を変えるという選択の可能性など主人公の仕事のスタイルに対する思い、服を通して綴られる個々人の思い出や思い入れ、主人公とお客や青年など様々な人々の交流から生み出されるもの。静謐な雰囲気の中に奥の深い人間ドラマが展開されています。
池辺葵
KCDX Kiss全6巻 / 講談社
ジャンル:女性・ドラマ / 好み度:★★★★★