急激にはびこりだした鬼と鬼に襲われたことにより鬼と化した人間を成仏させる陰陽師と侍と僧侶の一行。彼らの使命と旅すがら出会う人々との物語を描いた時代劇ファンタジー。
たおやかな容姿と気質の陰陽師・その護衛の侍と僧侶は旅を続けている。その目的は、世に急激に数を増した鬼の討伐。また鬼に襲われた人間は間際の愛や望みや欲などの強い想いによって鬼と化してしまう場合があり、鬼化した人間の成仏も。題名の「くるり」とは体内にある脈動というかチャクラ?みたいな設定で、これが狂うことにより鬼に変貌するのでそれを正しく回すことが必須、ただそれは陰陽師の青年のみができるという設定。
今際の強い想いが人を鬼に変えるという設定から3人が出会うゲストキャラたちの人間のドラマを最初に見せ、メインキャラ3人各々の素性に関わる話や過去や出会いの話、そして鬼が増えている要因という物語の核心に向かっての旅という流れに。
構成的にははじめからガンガン話を進めているけれどじっくり描かれているゆえ性急さは感じられないし、トリオのキャラづけもメリハリが利いていて物語的にも人物描写的にもソツがないなあ。他作品と同様、情の深さゆえの哀しさとかせつなさの描写が印象的。
あとがきには、リアルガチの時代劇では描ききれないからファンタジーになったとあるが下手に史実に準じたものより楽しめる内容だと思われ。
潮見知佳
KC×ITAN全2巻 / 講談社
ジャンル:少女・時代ファンタジー / 好み度:★★★★☆