よるくも 漆原ミチ

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舞台は廃頽的な雰囲気を持つ世界。まともな金持ちが住む「街」貧乏人から酔狂な金持ちまで雑多に集う市場のような「畑」そして九龍城のような様相のスラム街「森」の3つで構成されている。
「畑」で美味いと評判の飯屋、母と共に店を切り盛りする活発な看板娘・キヨコ。
「森」の組織で暗殺技術を仕込まれ上に言われるまま対象を殺害もしくは制裁を行う、他の人間との接触が極端に少ない状況で育ったような世間知らずというか純粋さを持つ青年・よるくも。
世界の状況描写と主人公2人の「日常」の描写を経て物語は本筋へと流れるという構成か。
よるくもの観察・情緒教育?を担当する女性と育ての親の肉屋のおっさん、そしてその一番上の人間「王様」と「王子様」と百という女性、そしてキヨコの母親など。主要登場人物の相関は蜘蛛の糸のようで、ほとんどのキャラはどこか壊れていたり心に傷があったりする。
ダークサイドな世界を淡々と描くタイプの物語。よるくもの仕事の描写とか場面場面のキャラの表情とか、うまく言えませんが虚を突かれたような感覚を覚える演出が印象的でした。1巻ではこれといって物語に動きはなくドラマというには淡白すぎる、しかし引き込まれる雰囲気があるのは確か。生きる術はあれど世界を知り尽くしていない青年と少女の今後、周囲の状況と思惑など物語がどう動くのか。

漆原ミチ
イッキコミックス全5巻 / 小学館
ジャンル:青年・ダークアクション / 好み度:★★★★☆