狼陛下の花嫁 可歌まと


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割の良い短期の仕事と聞き王宮に入った下級役人の娘・夕鈴に待っていたのは、狼陛下と呼ばれ恐れられている王の仮初めの花嫁役だった。
市井の女性が王宮にはいり特別な役割を担うという中華系ロマンスでは割とよく見られるはじまり。
主人公の女性が、斡旋された仕事場は王宮。仕事は冷酷無比で知られる陛下の仮の妻役をするというものだった。実は狼陛下は周囲の牽制のため鬼の気質を演じており、本来は犬のように穏やかな気質だという。
王の二面性の実情とそうあらねばならぬ国家内の状況と理由、王と側近の思惑、主人公が妻役をしなければならない理由などがうまく組まれていてするっと納得できる話運び。
国家内外の王を落とそうとする陰謀や取り込もうとする勢力の策略に関わることになる主人公。狐と狸の化かしあい、誰が敵か味方かというミステリと、それに伴う王と主人公のロマンスが展開されています。
主人公は、キャリアウーマン系ではなく、内助の功・賢婦人的立ち位置。王とともに国をよりよき道に進めるというより、優秀な王の落ち着きどころという感じというべきか。
男性に頼りきらない強い自立心を持ち周囲の状況もそれなりに把握・考察できる聡明なタイプの主人公が、王という男性を前にするとドキドキするなど前後不覚になるという展開がツボ。王道そのままだけどこういうシチュエーションはやはりツボ(笑)
1つの事件(エピソード)が短くメリハリがある構成。話の展開はワンパターンな気もしますが、逆を返せば安定感があるということで。登場人物たちの行動や心情描写にリアリティがあり、彼らの描写に重きを置いているようなので問題なし。

可歌まと
花とゆめコミックス全19巻 / 白泉社
ジャンル:少女・中華ロマンス / 好み度:★★★★★おすすめ