著者夫婦と、最初の飼い猫・ペン太をはじめとした飼い猫たちとの出来事を綴った猫エッセイ。
著者夫婦は共働きなどのストレスから喧嘩が絶えない時期があり、そのころに著者は立ち寄ったペットショップで爆睡する一匹の猫を購入する。そのこは女の子なのになぜかペン太と名付けられ、夫婦の鎹となる。
エッセイもの、なのだがどこか童話を読んでいるような作風でもある気がする。客観的に見る著者(や奥さん)の視点での飼い猫たちの行動の描写、淡々としたト書きナレーションがツボすぎる。喧嘩ばかりの夫婦の元に猫がやってきたら喧嘩が減った、という子は鎹ならぬ猫は鎹、という話はじわっと来るなあ。
最初の猫・ペン太がやってきた後、徐々に飼い猫が増えていき、各々の猫たちの個性が的確に描かれているためか混乱することなくそしてどのエピソードも面白い。ご夫婦の猫たちへの愛情がさりげないというか、日常における空気みたいな愛情を感じる。著者が猫に対して自分のことをおとうちゃん、というのがかなりツボだった。
エッセイものによくあるデフォルメした絵柄なのにペン太の最期のエピソードは泣ける。けっこうペット漫画でお別れのエピソードを読んだことはあるのだが素で涙がにじんだのは初めてだった。
片倉真二
イブニングKC 全10巻/ 講談社
ジャンル:エッセイ・ペット / 好み度:★★★★★
1巻目でペン太とのお別れエピソードを描いた後、続巻で他の子たちのエピソードの中に自然にペン太のエピソードを混ぜてるのがなんか良い。