東北のとある山村には村に伝わるクマ伝説の神社の巫女まちと、伝説のクマの末裔のしゃべるヒグマ・ナツを中心としたカントリーライフを描いたお話。
主人公の女子中学生であり神社の巫女であるまちは都会の高校に通いたいと望む。それを訴える相手は人語を解するヒグマのナツ、というシーンからはじまる。クマのナツがしゃべるのは村の秘匿事項であり、なぜしゃべる(というかほぼ肉体はクマだが中身は人間だよね)のかは後々村に伝わる伝説のあらましが出てくるのでなんとなくそういうことかとわかる。
主人公は何もない村の田舎生活から脱却し都会に行きたい、と望んでいるものの都会の生活の知識は乏しく電化製品など文明の利器音痴・人の多いところや行ったことのない場所ではテンパるというひどい都会コンプレックス?持ちという・・。ヒグマのナツのほうがかなり世間一般知識豊富で文明の利器をやすやすと使いこなす、というギャップも見所の1つのよう。
神事にまつわるエピソード、まちの都会デビュー訓練などなどけっこう、しゃべるクマとかわいい巫女さんのときどきかみ合わない会話とかまちさんのうろたえる姿を愛でる話なのだという認識(断言) 。
一方で牧歌的でのんびりした雰囲気の中にさりげなく田舎特有のブラックというかダークサイドも挟み込んでいる。その象徴がまちのいとこのよしお。田舎の若者にはまちのように田舎を出たいと望むパターンと田舎の暮らしが違和感なく居心地がいいパターンが有ると思うがよしおは後者。マイペース・事なかれ・デリカシーの無さ・・と出ていく若者が嫌悪する要素を持ち、街の若者が嫌うおっさん予備軍のような気がする。後に出てくるデリカシーは母親の胎に置いてきたような酒のみのおっさんとかなー;あとよしおに惚れているヤンキー気質ぽい女性もある種田舎の象徴っぽい気がするのだがどうか。
田舎のいいところもわるいところも内包し、ほのぼのまったりとリアリティのある田舎事情をきっちり描いているお話。
吉元ますめ
MFコミックスフラッパーシリーズ1~ / メディアファクトリー
ジャンル:青年・コメディ / 好み度:★★★★★