月影ほかボーイズラブ3件 


南美隆輔の傲慢な正餐 (バンブーコミックス 麗人セレクション) 深井結己
南美隆輔の傲慢な正餐・愛で縛ればいい・殺め川 戀の道行き・言うに言えない・リトルウィングを収録したBL作品集。表題作は父がヤクザの顧問弁護士をしていた縁から組員の青年に懐いていた少年の話。少年は長じて亡き父と同じく顧問弁護士となったが、表の世界に生きて欲しいと願っていた青年は彼を冷たく接する。表題作以外はヤクザもの2作品、遊郭ものと英国主従もの。どの話も短編なのに物語がきちんと構成されており、シリアスで切ない物語が多いがその中でも人間同士の温みが感じられる読み応えのある内容。著者の話はひと味違うなといつも思う。


不可視の傷あと (バンブーコミックス Qpaコレクション)  倉橋トモ
枕営業で成績を上げる営業マンは、自分に余所余所しい先輩社員に苦手意識があったが彼の優しい気質に惹かれていくという話。飄々として自分の魅力を自覚し性に奔放だが幼少期の暴力のトラウマ持ちの攻が受に惹かれて相手もあっさり受け入れる展開。二人の過去が伏線にあってそれに至るあたりは整合性はあるんだけどち若干強引な気もする。他にも伏線ぽいものはあるが枚数の関係でおざなりになっているような。細かいことは気にせずシチュエーションを楽しむなら良い話かな。同時収録のLooseは、自室でオカズにしていたあえぎ声の主の隣人と出会う話。隣人は誘い受のビッチくんだったという。設定からしてエロ重視の話だがなんか微笑ましい話だった。作画はスタイリッシュ系で万人受けするタイプの絵柄。


月影 (バンブーコミックス 麗人セレクション) SHOOWA
月影・ホモ連戦隊守るんジャー・罪隠し・ジュグリノジュグノ・逃げ水を収録した作品集。表題作は遊郭に捨てられ遊女たちに育てられた少年と遊女たちを診る若い医者の話。遊郭ものとしては定番だが切なさと物語の間合の構成と描写が格別。ホモ連戦隊守るんジャーは戦隊ものギャグBL。主人公を始めとしてシリアスというかニヒルな雰囲気を醸し出してるけどト書きとかけっこうコメディ色が多い。あとはヤクザのクマ系青年に恋する堕落系ヤクザの息子の話、ファンタジー世界の吸血鬼捕獲の話など。シリアスとシリアスに見せたギャグとアクションものに見せたコメディとジャンルが多彩すぎる。最後の話は表題作の後日談。BLのギャグは痛くて読めないのが多いがこちらは絶妙なバランスで読み応えがある。