アルキヘンロズカン しまたけひと 

行き詰まりを感じる漫画家の男性や寡黙な無職の女性など各々の理由で四国遍路の旅が始まる。
四国お遍路を題材にした話。一見ノンフィクション作品と思ったがフィクションらしい。
複数の人間を主軸に置いているのでそうか。
でも読んでいくと一応著者が体験した事柄が元になっている模様。
そのせいなのか著者の作風なのか、露骨な消沈とかじわっとくるほの暗さとか覚える雰囲気。
行き詰まった人間の現状もあいまって妙にリアルな暗さがある。
お遍路を行うにあたってのシビアな状況とかがリアルに突き刺さるというか。
迷いを払拭するための旅ではあるが一層闇が深まる旅になっているような展開。
お遍路をする側もそうだが接待する側もいろいろいる模様。
どんなところでもコミュニティでもいろんな人がいるのはあたりまえか。
正直なところ読んでいてへこむことの多い内容なのだが、
淡々と描く作風のせいか嫌悪は少なく興味深い内容だったのは確かだった。
人物描写もだが、漫画家サイドの行動におけるト書き描写が、キャラに同調する一歩手前で
客観視するような絶妙な距離感を保っているなあと感じた。

しまたけひと
アクションコミックス全2巻 / 双葉社
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★☆☆