全寮制の男子校を舞台に、多感な時期の彼らを繊細かつ叙情的に描く不思議物語連作集。
舞台は同じ全寮制男子校。そこに通う少年達の物語。
ファンタジー的な要素をさりげに盛り込みつつ、主題は多感な少年の心情の描写のよう。
1話目の卒業間際に、自分の釦を望んだ後輩から、昔の「空想の」友人が居たことを思い出す先輩の話、2話目はその釦を望んだ後輩の話・・と各話の主人公が緩く繋がりを持つ構成。
最終話がまた最初の話の登場人物が主人公になるところもなんとなく好き。
各エピソードには核となるモチーフがあり、叙情的というか文学的な静謐な雰囲気が特徴。
著者が持つ独特の作風ではあるが、短編集というのもありこの作品はそれが特に濃い。
考えるより感じる系というべきかな物語の連なり。
思春期の少年の心情描写が静かだけど鮮烈にジワッと心に染み渡る。
釣巻和
カドカワコミックス全1巻 / 角川書店
ジャンル:少年・ファンタジー / 好み度:★★★★★