三月某日、クマを拾った (バンブーコミックス 麗人セレクション) 高緒拾
美術系大学受験の予備校の寮を舞台にしたBL連作集。表題作は、寮に住む講師が自暴自棄な青年を拾ったことから始まる物語。講師の愛称と青年が亡くした親友の愛称が同じというのがきっかけで、過去に囚われた青年を講師が拾い上げる的な話かな。出会ったときがクマのようにぼっさぼさだったからのよう。あとの作品は寮の同室であるハルとナツの二人を中心に描いたシリーズ。美術・芸術系の若者たちの話だからか自身の感性に阿るというか感性の赴くままの言動が多くて文学的な雰囲気。絵柄も雰囲気も好ましいけど物語自体は難解という印象も。★★★
ねこかぶりねこ (バンブーコミックス Qpaコレクション) 森嶋ペコ
ねこかぶりねこ・ぶきっちょバンビーノ・純愛カルテット・半熟ストロベリー・完熟ストロベリー・飼い主以上恋人未満・我が輩はトカゲであるを収録したBL短編集。最初の3作品は同じ世界観で2つのカップルを描いた話。柔和だけど押しが強いメガネ御曹司×生意気気質のバーテンダーとバーテンダーの兄の教師×元教え子。各々のカップルの馴れ初め話と4人が登場する話。あとは幼馴染みをオカズに乳首自慰をしていたらかなり敏感になった男子の話、猫大好き男子が酔っ払った先輩になし崩しに同居することになる話。可愛い系の絵柄で柔らかい表情が印象的で好み。どの話も可愛いしBL描写も萌える(笑)話の流れもスムーズでほんわかとした。個人的に最後の話が読み応えがあった。★★
夏色モラトリアム (バンブーコミックス Qpaコレクション) 森嶋ペコ
手芸の趣味を周囲に嘲笑されいじめにあった少年は全寮制の山奥の男子校に転入する。寮の自室に入ると同室の生徒がお楽しみ中で・・という始まりのキムジナウム風の学園BL。同室の生徒はかなりの美少年な上性に奔放で天然な気質のよう。だが転校生は自分の過去の傷に寄り添ってくれた相手を好ましく思い、彼の生活を改めようとする。つか暢気なビッチ受に見せかけて彼自身もヘビーな過去がありその奔放さは深い理由があったという。定番設定ながら中々に魅せる展開と構成。秋色ノスタルジーは表題作で正義の味方的立ち位置の教師の過去話。こちらもノスタルジックというかせつない系かな。matineeとsoireeは小規模な劇団の団員同士の話。演劇界隈は不勉強なので話は今ひとつ読み込めなかったがBL方面は楽しめた。★★★