他人に対しどこか壁を作っている少年・高冬と明るい性格の佐久間。一見相反する個性を持ちながらどこか似ている彼らは徐々に惹かれあっていく......。
ボーイズラブ作品ですが、カップルの２人だけの世界な雰囲気は一切なく、普通のドラマとしても読める作品です。主人公の２人はどちらも不遇の家庭環境を持っていて、そのしがらみから抜け出すことにより２人が結ばれるという展開です。（性格にいうとしがらみの脱却は高冬の方なのですが）高冬の家庭環境は近親相姦とか虐待とか、かなりヘビーなもので、昨今社会問題になっている要素が含まれていました。２人の恋の行方より高冬の家庭問題の描写と展開の方が気になりました。家庭は安らぐところであり、母親は何を変えても子どもを守るものだと思っていたので読んだ当時は結構ショッキングでした。母親が自分の子供に無茶をする再婚相手がイヤにならないところがまた不思議。高冬のそれでも母親を慕い家庭の存続を願うさまにはなんともいえない感情が沸きました。
この話はこれで完結していますが、あとがきを読むと物語としてはとっかかりだった模様。
亘理なおみ
ビーボーイコミックス/全２巻/ビブロス
ジャンル：ボーイズラブ/好み度：★★★☆☆
同時収録作品：これは愛だ！（２巻）