空手(だと思う)の道場に通う主人公の少年は高い煙突に座っている不思議な少女を見つけ、少女のとなりにある昔よく登った煙突にのぼり少女に話しかける。そして突然、空間が裂け奇妙な機械と人間が現れ少女を連れて行こうとする・・・。で、主人公が助けようとすると巻き込まれて少女が本来住む世界へといっしょに落ちてしまうという展開。
はじめの何分かは牧歌的・・というか日常をぼんやり描いた話かと思ってました。万人向けの無難な絵柄だし。しかしその後の展開にあごが外れそうになりました。巻き込まれて落ちてしまった主人公がついたのは狂った独裁者が支配する機械と弱肉強食の理不尽な世界。イメージ的には未来少年コナンのインダストリアを思い出す。つか絵柄も雰囲気もそんな感じ。
しかしコナンと違うところは展開が超リアルすぎて夢も希望もないところでしょうか。戦争の現実はこの通りなんでしょうが・・・。暴力、策略、裏切り・・精神面でも肉体面でも主人公ボコボコだしヒロインたちは悲惨だしもう痛すぎる。暴力のない世界で生きてきた主人公の痛い目をあっても人を気遣う心、それに揺るがされる暴力だけの世界で生きてきた少年の心情が印象的でした。
作品の質はかなり高いです。絵柄は万人向けだし動きの描写も妥協がないという感じ。話の構成も無駄がなくメッセージ性も強いのでストーリーに現実味を求める方には見ごたえがあるかと。絶望的な状況での人のあり方はなんたるか。
1999年WOWOW全13話/堪能度:★★★☆☆