学校内でも有名ないわゆる不良の蔵重が、突然、優等生桧山(男)に愛の告白をされることから物語は始まります。ノーマルな蔵重は当然その気はないと断るのですが桧山はそんなことはどこ吹く風、一途に蔵重を追いかけるのでした。といっても、ボーイズ系な話ではなく、コメディの混じった友情(桧山にとっては愛情ですが)と人間ドラマです。物語の構成は、蔵重と桧山のふれあい(笑)だけではなく、各々の身内に関する事件やまきこまれパターンの事件が主な軸になっています。
やはりこの作品の魅力は蔵重と桧山の関係でしょう。桧山はただ自分の欲で蔵重を追い掛け回しているのではなく、本当は一途でナイーブで不器用な熱血漢なのに父親との確執からつっぱっている蔵重の本質をよく理解しています。蔵重も自分のことを解ってくれて自分のために親身になってくれる桧山のことをむげに出来ず、かといって桧山の望みをかなえるわけにもいかず、苦悩の日々が続く...というシチュエーションがツボです。蔵重の悩める姿がなんとも可愛らしく、桧山の態度がいきすぎた友情なんだか恋愛感情なんだかボーダーをいったりきたりな感じなのも面白いです。
加藤知子
花とゆめコミックス/全4巻/白泉社
ジャンル:少女・コメディ・学園/好み度:★★★★★