ZERO 冬目景


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歴史の古い中学校。クラスメイトの罠にはまり自主退学させられた転入生・間尾洋子。彼女は静かにそしてさまざまな手段を駆使して生徒を殺していく。
学校崩壊がとりだたされていた時代背景だったのかな。理不尽な仕打ちを受けて爆発する話って結構あったような気がする。
物語のおそらく主役は間尾洋子ですが、生徒会書記の男子中学生釘町の視点で描かれている構成です。
生徒会の人間といっても当人も生徒会長の女子生徒もけっこうアウトローな性格、間尾洋子は前の学校で問題を起こし前科持ちという経緯を持っているという設定。釘町は間尾に話しかけそれなりに親しくなっていく。そんな中、釘町も一度接触があったヤバイ生徒たちによって間尾は拳銃運びの片棒を担がされ結局自主退学を余儀なくされる。間尾は嵌められていると知りつつも自分にも後ろ暗いところがある釘町はだまっていた。そして2ヵ月後、間尾は学校に生徒に復讐する。
前半は破滅と策謀のやるせないブルーな青春の話、後半は、ガスとかシステムをいじって大量殺人というパニック洋画のような復讐劇な展開。うーん;うまくいえない;;
絵柄からかなり古い作品だし荒削りですが稚拙とは感じられない、当時の世相が垣間見える話で、いろんな意味で目が離せない鮮烈さと衝撃を感じたタイトル。
後半はショッキングな展開ですが今ほど絵が荒いのでかえって気にならなかったです。後半の展開のために学校に警備ロボットとかが巡回するって設定がちょい違和感でしたが。
物語としてうまくまとまっており、考えさせられる内容でした。間尾に降りかかる容赦のない悪意、それをあきらめることをやめた彼女と、己のために見て見ぬふりをした釘町、ガチガチの校則を変えたくて生徒会長になった女子生徒、体の故障からそれまでの道をあきらめざるを得なかった男子生徒、主役から脇役にいたる登場人物すべてにリアリティを感じるというか。やっぱり著者は力量があるんだなあと思った次第。

冬目景
幻冬舎漫画文庫全1巻 / 幻冬舎コミックス
ジャンル:青年・ダークドラマ / 好み度:★★★☆☆