代書屋佐永 山下友美

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文化文政の江戸・雑司が谷鬼子母神界隈。手習い塾兼代書屋の青年・佐永と、瓦屋の父を持っていた町娘・文花が出会う人々と書が織り成す人情時代劇。
江戸時代を舞台に文字・書などをテーマにした人間ドラマ。おそらく瓦版や寺子屋などが江戸の街でよく見かけるようになったころのよう。
主人公の青年佐永は、手習い塾いわゆる寺子屋の経営と、代書屋という文字が書けない人のかわりに手紙などの文字をしたためる商売をやり、そしてもうひとつ特殊な能力を有しているという設定。そんな主人公が、文字が書けない読めない町娘・文花が出会うところから物語が始まります。
刀でなく書(文字)で悪事と戦う人たちのドラマが主軸ですが、結局主人公の筆で人を斬る能力で決着をつけてしまう構成なんですよねえ。人情ものであり、ゆるめの必殺のような内容というべきか。
書は刀より強いという信念のもと動くキャラたちのドラマを見せたいのか、主人公の必殺仕事人のような怜悧なかっこよさを見せたいのか。どっちもなんだろうけど、それゆえにテーマがぼやけてしまったような印象が。
文字に関する文化や歴史などの描写は含蓄がありました。

山下友美
プリンセスコミックス全3巻 / 秋田書店
ジャンル:少女・時代・ドラマ / 好み度:★★★☆☆