栄光の手 上田信舟

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聖痕とは磔刑されたキリストと同じ場所に血を流す傷が生まれる奇跡を指す。異形の者に手首を切られる夢を見た真澄の左手に聖痕ができていた。聖痕とこの世ならざるものとの門へブンズゲートをめぐる策謀と戦いに巻き込まれる真澄だが...。
いわゆる1999年世紀末オカルトファンタジーアクション。方向性完全に間違ってるよなおじさんたちとか異形の者になっちゃって救済を望む兄妹とか死神ヒーロータイプの傀儡の青年とか濃いキャラクターが自分の信念?に基づいて行動しているお話(身も蓋もない)。普通の高校生が主人公で誰が味方か敵かという謎々感がリアルに表現されています。現れたいろんな常軌を逸した人たちの誰を信じていいのやらという感じ。オカルト系アクションと闇に足を突っ込んだ人間の心理描写が壮絶です。外伝の兄弟の話もせつなくて見ごたえありました。
作品自体はそれなりに魅せるものがあるのですが、もうちょっと掘り下げた展開が欲しかったかな。特に主人公の弟の位置づけがわかりづらくて;続きがある風な余韻を残した終わり方も気になったり。あとがきを見ると連載スケジュールが明確でなかったらしいので無理ないかもと思いましたが。
作者の作品って主人公が状況に翻弄されっぱなしというのが多いのですが読んでてもいたたまれない気持ちにはならないところが個人的に好きだったりします。

上田信舟
あすかコミックスDX全2巻 / 角川書店
ジャンル:少女・オカルト / 好み度:★★☆☆☆