PPMの卵 杜真琴


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主人公・葉一と両親が乗っていた車が事故を起こし、両親は死亡するも主人公は奇跡的に助かる。そして両親の親友夫妻と主人公と同い年の息子・和馬がいる一家に引き取られる。擬似家族ものであり友情ものでありせつなくも静謐な思春期の少年少女たちの物語。ちょっと違うのは念動力という特殊能力が物語の鍵になっているところかな。
和馬とその母は念動力を持っていてある期間を過ぎると使えなくなったのに対し、葉一が和馬の能力喪失と入れ替わってその能力を持つようになる。一歩間違えるとドロドロ展開に設定ですが、グダグダな雰囲気にならないところが著者の描く作品の特徴。真実がわかるまでは心を閉ざしたりいろいろと悩む描写には忌諱を感じず見守りたいような気持ちになるんですよね。
両親を見殺しにしたこと、和馬が失った能力を持つこと、自分の出生のこと、これらの呪縛から放たれたときの描写も印象的でした。2巻目に登場する、葉一と同じ能力を持つ浩司とその妹の話は物語の構成がとてもうまいなと感じました。妹第一の浩司は周囲を不幸にしても妹を守りそれに後悔はないけれど自責に駆られている。葉一が遭った交通事故もその兄の仕業だったのですが妹が轢かれそうになったからで、葉一にカミングアウトして罰してもらおうをする・・浩司の行動とその理由の設定が絶妙だなと思いました。
PPM-百万分の一という奇跡のような確率。葉一の能力も人と人が出会う縁も絆も、奇跡。

1巻同時収録:リバース・聖三角形の法則・TOPBOY・君達のとくべつ
2巻同時収録:眠る水魚・許される嘘

杜真琴
花とゆめコミックス全2巻 / 白泉社
ジャンル:少女・ドラマ / 好み度:★★★☆☆