母親が死に、天涯孤独となった主人公の少女の前にヤクザの老人がやってくる。その老人は親からは死んだと聞かされていた祖父だった。祖父の家に住むことになった少女にはお世話役として一人の少年が就く。
冒頭のありがちな設定の説明はさらっと描きすぐに本題に入っているところが好印象。話の進め方がうまく、途中で読むのが飽きてくるということがないのがいいですね。
転校先の学園生活において実家の素性をばらさずうまくやっていきつつ、お世話役の少年とか主人公に恋慕する少年とかの恋愛模様がメイン。あと極道という要素らしく、人情ものというか人間ドラマ的な展開も割りとあります。
主人公は極道の血を少なからず受け継いでいるらしく、一本気で曲がったことには体当たりな性格で、タンカを切るシーンはかっこいいし、加えて少女らしいときめきとか恋愛のジレンマもうまく描写されています。
主人公は徐々にお世話役に対し徐々に恋愛感情が明確になっていってるので、お世話役との恋愛が、主従という壁を乗り越えて実ることをめざす展開の模様。
執事系王道恋愛ものというべきか。描き方がうまいので王道っぽく感じないですが。ただ、はじめのうちは事件が解決したあとに少年が主人公を抱きしめるというシーンが何度も出てきて(構図も同じ感じだからか)ちとワンパターンな印象は受けましたが。
藤原規代
花とゆめコミックス全10巻 / 白泉社
ジャンル:少女 / 好み度:★★★★☆