ボーイズラブの短編集というとどうしても話がまとまっていない場合が多いのですがこのタイトルは物語としても十分楽しめるクオリティ。まあBLの場合は物語の構成も大事だけど琴線に触れるシチュエーションであるかが重要なポイントだと思うけどね。
「眼鏡をかける理由」
兄とつきあっていたことを知られ嫌われるくらいなら・・と告白しない受と兄とつきあっていたことを知っているゆえに告白を迷う攻の話。元カレの弟を好きになった受の心情や2人の駆け引きの描写がツボでした。
「花散る里」
思春期の少年のころ祖父の愛人だった青年と関係を持った青年。数年ぶりに再会しその想いを告げる。少年のときのエピソードの大正・昭和初期のレトロ浪漫な雰囲気に魅了されました。
「白妙坂の恋人」
写真家の兄を持つ大学生と兄の友人の会社員のお話。写真が物語の鍵。作品群の中ではインパクトの薄い話ですが心情描写は素敵。
「ゆく河の流れは」
元教え子の青年と初老に足を突っ込んだオジサンの元教師のお話。青年が在学時代口説かれ一線を越えて以来ずるずると・・という展開。本当は相愛なのにオジサンの固定観念からなかなか素直になれないというシチュエーションが萌える。オジサンというにはこのタイトルくらい枯れてくれないとなと感じたり。オジサン受けに目覚めそうだった話でした(笑)
「今の恋の味」
同棲関係にある2人の住まいに闖入者が、という話。彼氏のことをよくしる来訪者にやきもきする受くんという話ですが、さほどグダグダにならずあっさりした展開だったのが良かったです。
「ターコイズ・トラップ」
片思いの相手が結婚することになり落ち込むバイトくんは金持ちの青年に南の島に拉致られ相手をしろと迫られる。
愛情があって相手のためを思いにっこり笑って強引な態度をとるという攻というシチュエーションは実に好み。戸惑いつつも徐々にほだされる受の描写もツボどころ。
個人的には著者のBL漫画だいぶ描きなれてきたなあという印象を受けたタイトル。えらそうな言い方ですいませぬ;
宮越和草
ダイヤモンドコミックス全1巻 / 松文社
ジャンル:ボーイズラブ / 好み度:★★★☆☆